今回も靴(ダンスシューズ)の比較です。
ワルツやスローフォックストロット(スタンダード種目)を踊る時には、どちらの靴を選べば良いのか?
片方は、ボール(母趾球)よりも後方は固定されて曲がらなくなってます。
もう片方は、靴底のほとんどが、自由に曲がるようになってます。
踊りやすい方・・・というか「好み」です。
実際には、社交ダンスを習うとき、先生に靴を買ってきて貰うのが、一番良いと思います。
どちらのタイプの靴を履くかによって、ダンスの基礎が大きく変わってくるので、
踊りの相手をしてもらう先生が推薦するタイプと違うタイプの靴を買うと、ほとんどレッスンになりません。
今回は、「靴底が自由に曲がる」タイプの靴について、考えてみたいと思います。
日本国内で発売されている本(参考書)やダンス雑誌などでのレクチャーの大多数は
こちらの「靴底が自由に曲がる靴」で踊ることが、大前提になっているように思います。
日本国内における、社交ダンスの踊りの歴史は、「靴底が自由に曲がる靴」での研究の積み重ねの歴史だと言っても過言ではないように思います。
「靴底が自由に曲がる靴」の最大の特徴は、「靴底の真ん中の部分が、沈み込む」ということです。
日本は、裸足文化です。 裸足で歩いているときは、足の裏の真ん中は沈みません。
でも、イギリスは靴文化です。
「靴底が自由に曲がる靴」を履くと、足の裏の真ん中を沈み込ませることができます。
これこそが、西洋の「靴文化」の醍醐味! 文明とは、沈むこと!
「靴底の真ん中が沈み込む」ことによって、「足の裏全体を使って、床に圧力を掛ける」感覚を得ることができます。
日本の大多数のダンス教室では、この動作を「フット・プレッシャ」と呼び、「足の裏全体に体重を乗せて、しっかりと床を踏め」と教えているかと思います。
ほんとうに、そうなのでしょうか?
ほんとうに、靴文化とは、「靴の真ん中を沈み込ませる」ことなのでしょうか?
社交ダンス(スタンダード種目)のフットワークで、詳しく考えてみましょう。
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「靴底が自由に曲がる靴」を履いて、ヒール(踵)側に体重を掛けると、ボール(母趾球)側が、僅かに浮き上がるか
浮き上がろうとする感覚になります。
さらに・・・・
社交ダンスのレッスンでは、「フットワーク」という「難しい英語」の掛け声のもと、
ヒール(踵)をつけて着地するか、ヒール(踵)を浮かして着地するか、そういうことが、口うるさく指導されます。
なので、多くの人は、足を前に出して、出した足の靴底が床に着地する時には、
「出来るだけ、高く爪先を持ち上げて、しっかりとヒール(踵)から着地するように!」
と指導されます。
そのためには、初心者の頃から「靴底が事由に曲がる靴」で、たくさん練習することが、日本の社交ダンスにとって、とても重要になってきます。
日本の社交ダンスでは、ヒール→フラット→ボール→トォ というふうに、足の裏に順番に体重を掛けるような指導がなされます。
そのためには、フラット(足の裏全体で、床に圧力を掛ける)ところで「靴の真ん中の部分が沈み込む感覚」を掴むことが、とても重要になってきます。
足の裏に、「ボール(母趾球)よりも少し後ろの部分と、「靴の踵」の「前側の角」の部分の感覚」を、しっかり掴み込んで
土踏まずを押し潰すように、「足の裏全体を使って、床に圧力を掛ける」。
これを、ひたすら練習することで、「日本の社交ダンス」の原点が見えてきます。
ボール(母趾球)に体重を掛けるときには、「靴底の真ん中」を沈み込ませておいてから、
足の踵の部分を「すくい上げる」ようにして、持ち上げます。
靴底の踵の部分が、足の踵から離れようとするので、靴の紐を、キツくしめておきましょう!
日本で、長年、社交ダンスを習っている人の多くは、
「大きく綺麗に踊るためには、足の裏全体を使って踊りなさい」
「体重をトォ(足の指)に移動させるとき、足の裏全体を使って踊りなさい」
とか、そんな指導を受けて来ているはずです。
「本のページをめくる動作」をイメージしてみれば、この重要性がわかります。
本の真ん中を、指で押さえて、本の真ん中が持ち上がらないようにして、
本の隅っこの部分を「すくい上げる」ようにして、ページをめくっていきます。
日本の社交ダンスにおける「足の裏の使い方」も、これと同じ原理に基づいています。
「靴底の真ん中の部分を沈み込ませて、土踏まずを押し潰すようにして、踵を持ち上げる」
日本の社交ダンスにおいては、この動作を「ライズ」と称します。
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社交ダンス以外のダンスにおいては、
「土踏まずを持ち上げて、土踏まずのアーチを高くしましょう」
という考え方があると思います。
でも、日本のプロ教師が教える、日本の社交ダンスは、そうじゃないです。
最近は、整形外科医でも知らないようような、「クソ難しい筋肉」の名前を連呼している社交ダンスのプロ教師や、筋肉の名前がたくさん書いてある参考書などが、出回ってます。
「プロ教師が教えてくれない、プロ教師の高等テクニックを、密かに教えてくれる」シリーズの本は
内股・内股・内股・・・・(トッププロは、口には出さないけど、必死に内股で踊ってるんだ!)ってふうに、なってます。
そういうのを、よく観察してみると、見えてくるモノがあります。
必ずと言っていいほど、踊の中に「『靴の真ん中を沈み込ませる動作』を噛ましている」ということです。
社交ダンスの動きは、「土踏まずを踏みつぶすアクション」を行った後で、次のアクションに入れば、
姿勢を固めたままでも、簡単に次のアクションに入れるという特徴があります。
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