今日は、ワルツのフォーラウェー・リバース &(アンド) スリップ・ピボット。
日常生活においては、歩くときには、『へそが向いた方向に歩く』のが一般的である。
ところが、社交ダンスでは、『へその向いていない方向に歩く』ことが多い。
プロムナードポジション(P.P.)は、男女が向かい合って立ってる姿勢から
男性は顔を左に向け、女性は顔を右に向る。これがタンゴでいう「リンク(link)」
ここから二人が、顔を向いた方向に進むのが「プロムナード(promenade)」であり、
顔とは反対(見えない方向)に進むのが「フォーラウェー(fallaway)」になる。
link は、結合・結びつける、(鎖の)環(かん)、輪、(編み物の)目
promenade は、海浜遊歩道、散歩場、遊歩場、(ゆっくりした)散歩、遊歩
fall away は、ずれて落ちる、離れる、(...を)見捨てる、手を引く、脱落する
プロムナードにせよ、フォーラウェーにせよ、はっきり言えるのは
「へその向きとは違う方向に、カラダの移動させる」
ということ。
どうすれば、よいのか?
カラダに「回転」もしくは「斜め方向に進む力」をかけながら踊る!
この2つの姿勢から、プロムナード、もしくは、フォーラウェーの動きを作ってみて
比較してみれば、違いは明白だと思いますが、
・「丹田に重い塊を作る」時には、背中の筋肉を利用して、肩甲骨を左右に回転させる。
・「気(勁)の流れを作る」時には、前腕に変化を加えれば、カラダ全体が変化する。
という具合で、見かけは同じでも、カラダ内部の動きは、まったく異なってきます。
実践における、わかりやすい箇所は、フォーラウェーリバースの男性。
3歩目左足後退(フォーラウェーでCBMに後退。フットワーク:TH。CBM無し)
から、4歩目の右足後退スリップピボットに入る直前までの動きです。
「気(勁)の流れ」を完全に止めておいて、肩甲骨の回転を利用する(背中に棒を
担ぐイメージ)場合には、
・左足(後ろ足)の真上まで、カラダを移動(後退)させて
・左足の足の裏全体を使って、べったりと床を踏みつけてから
・カラダの動きを完全に静止させてから、右足を引き寄せます。
このとき、両足の爪先の向きは同じ向き(自然に、そのようになります)
両足の位置はCBMPというよりクロスに近い形で、重なりあいます。
一方、「気(勁)の流れ」を利用して、踊るとどうなるか?
まるっきり違った動きになります。
丹田~てのひら、丹田~足の裏に、「気(勁)の流れ」を作っておいて、
前腕(肘~手首)、ふくらはぎ(膝~足首)の筋肉に変化を与えれば
カラダ全体に大きな変化が起きる・・・というのを利用します。
「左足を外旋気味に着地」させて、「ふくらはぎを内側から後方に引っ張る力」を加えます。
そうすると、「左足の爪先が正面を向く」のと同時に、「全力で踵(ヒール)を踏みつけても
踵が床につかない(踵が僅かに床から浮いている姿勢を保てる)」姿勢を作ることができます。
中間バランスを保ったまま、左腕前腕(肘~手首)の筋肉を変化させてやれば、
「気(勁)の流れ、および流れを作っているインナーマッスル」が変化しますので
カラダの向きが変わるとともに、右足が自然に円弧を描きながら後退を始めます。
そして、中間バランスを保つことによって、ボディは一定の速度で動いていきます。
一連の動作は、中間バランス(両足の中間にカラダがある)で行われますので、
左足のヒールが着地して(フットワークHになるタイミングは)、4歩目のスリップピボット
する右足が、左足の横を通過するタイミングになります。
(それまでは、靴の踵が床に接していても、左足のヒールには体重が掛かっていない)
このように、「気(勁)の流れ」を使うか使わないかで、踊りがまるっきり異なってきます。
ここで、DANCE ZONE 裕美先生の動画をみてみましょう。
フォーラウェーリバースの3歩目(左足後退)あたりからの、動画になります。
11分38秒あたり、後退した左足を「トォ・ヒールで降ります!」と言ってます。
完全に左足を降ろして、ボディを左足の上にのせています。
両足の爪先は同じ向き。 CBMPというより、左足は右足にクロスしてるように見えます。
ここから、カラダを左氏の上に固定させて、4歩目の右足の動きを始めてますね。
スリップピボットには、肩甲骨の回転を使っているはずですが、これだけでは、
うまくいかないので、「足のしごき」というのを使っています。
左足の太もも、左の骨盤を吊り上げるように、持ち上げながら回転させる動きですね。
「棒をイメージした肩甲骨の回転」に「足のしごき」を併用することで、ピボット動作を
実現しているのだろうと察します。
たぶん、カラダ全体の筋肉が複雑に伸縮して、筋肉は「半端ない」くらい緊張しまくってる
ように感じます。(断言できないので、このような表現しておきます)
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人間は、生まれながらにして、「気(勁)の流れ」の感覚は持ち合わせているはずです。
社交ダンスを踊るときに、「中途半端な 気(勁)の流れ」は、踊りの邪魔をします。
「できない!」「踊れない!」というのは、中途半端に「気(勁)の流れ」が残っているため。
「気(勁)の流れ」を完全に遮断して機能停止にするための練習を繰り返すか
「気(勁)の流れ」を最大限に生かして、カラダを軽くするコツを見つけ出すか?
進むべきは、どちらかだと思います。
日本の社交ダンスは、
「子供からお年寄りまで、初心者からチャンピオンまで、同じ基礎で踊りましょう」
というコンセプトで、プロ教師の指導が行われています。
なので、
「初心者や高齢者は、気(勁)の流れとか、そんなの理解出来ないよ!」
じゃぁ、日本のプロ教師が教える社交ダンスは
「気(勁)の流れとか、そんなも全部、禁止にしましょう!」
みたいな感じになってるはずです。
「気(勁)とかが、理解している人」を、オーディションかなんかで集めて
「気(勁)を使えない人」と、勝負させれば面白いと思うんだけどね。
本来、そういうのが、競技会だと思うんだけど・・・。
「気(勁)を使えない人」が圧勝するのなら、それはそれで良いわけだし。
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