社交ダンス(特に、ワルツなどのスタンダード種目)を習い始める前に、是非とも覚えておきたい「ダンス用語」がある。このことば、覚えてから、ダンスを習いに行きましょう!
CMB(しぃびぃえむ)という言葉で、Contrary Boby Movement の略。
直訳すると「正反対のカラダの動き」という意味になる。
「人間なら誰もが日常的に行っている動作」という説明がなされているがために、
多くの人は「自分は(ダンスの中でも)CBMが使えるんだ!」と解釈し、
「自分が行ってるカラダの動き」の中から「CBMという動き」を見つけ出そうとする。
結果として、100人いれば、100通りのCBMの解釈が、日本の社交ダンス界を駆け巡り、
多くの人が集まる場所では、他人のCBMの解釈に異議を唱えようモノなら、いつ殴り合いの喧嘩が起こっても不思議ではない。 そんな殺伐とした雰囲気がフロアー内に漂う。
それっくらい、CBMというのは恐ろしいものであり、たとえ世界チャンピオンであろうとも、安易にCBMという言葉を口してはいけないのある。
CBMという言葉を口にした途端、集団でボコボコにされたとしても自業自得。
「正しいかどうか」ではなく、「多数派」がその場を支配する。それがCBMの恐ろしいところである。
多くの人は、苦い経験をしながら、「他人にCBMについて語ってはいけない」ということを学んでいくのである。
CBMについては、村上尊一先生の説明が、とてもわかりやすい。
社交ダンスの経験の有無に関係なく「CBMとは何か?」を理解することができます。
社交ダンスの経験の無い人や、社交ダンスに先入観を持たない人のほうが、「CBM」の本質に迫っていけるように思います。

ここに書いてあるとおり、「まっすぐ両足を揃えて立って、胴体を回転させる」運動をやってみることで、「CBMの基礎になるカラダの動き」理解を得ることができます。
膝(ひざ)を右に回転させると、肩(かた)が左に回転する。
肩(かた)を左に回転させると、膝(ひざ)が右に回転する。
やってみるとわかりますが、
「足の裏全体で床をベタ踏みして、土踏まずを押し潰した場合」
には、上半身と下半身は逆方向に回転します。
しかしながら、
「土踏まずのアーチを作って、土踏まずに変化を加えた場合」
もしくは、「てのひらに変化を与えることで、土踏まずに変化が起こした場合」
には、上半身と下半身は、同じ方向に回転します。
そもそも、意図的に、積極的に「膝を左右に回転させる」ということが、推奨される(プロ教師が、積極的に指導すべき)どうかは、別の機会に譲るとして、それぞれの人が「自分はCBMを使って踊れるんだ!」という認識をすると、大きく分けて「3通りのCBM」が存在することになります。
CBMタイプA → 〔膝〕右回転/〔腰〕右回転/肩〔左回転〕
CBMタイプB → 〔膝〕右回転/〔腰〕左回転/肩〔左回転〕
CBMタイプC → 〔膝〕左回転/〔腰〕左回転/肩〔左回転〕
本来、どれが正しいのかを、説明するのが、指導する側の「プロ教師」のお仕事なのでしょうけど、ほとんどの「プロ教師は、CBMについて、教えることを放棄します」
結果として、その場にいる「多数派」の動きが、「その場における正しいCBM」という扱いになってしまいます。
もう一度、簡単に説明しましょう。

このホールドの作り方においては、土踏まずは押し潰される。
そして
膝を右に回転させると、同時に腰も右に回転する
そして、慣性の法則により、肩は左に回転する。
骨盤や股関節は「ひしゃげる」ものという意識を持って回転させると
膝を右に回転させると、慣性の法則によって、肩は左に回転する
肩と腰が「捻れない」ようにカラダを固めると、肩と腰が左に回転する。

このホールドの作り方では、土踏まずのアーチは大きくなる。
そして、
土踏まずの中で「カラダの中に引き込む場所」を変化させると、カラダ全体が「同じ方向」に回転する。
下半身に変化を加えずに、左手の「てのひら」の形を変化させた場合にも、カラダ全体が回転する。
膝(ひざ)を回転しようとしても、回転しなくなるし、膝を回転させるのはNG行為。
土踏まずのアーチを加えながら、アーチの形状を変化させることで、結果的に膝の向きが変わる。
また、回転という意識が生まれてこないかもしれない。左右どちらから前に出て、反対側が後ろに下がるという感覚に近い場合も多いはずです。
いずれにしても、土踏まずのアーチを作った場合には、膝(ひざ)・腰(こし)・肩(かた)、および肘(ひじ)は、同じ方向に回転する。
日本のプロ教師が教える、いわゆる「日本の社交ダンス」においては、
村上先生のいうように、「膝と肩は逆方向に回転する」というのが前提になった上で
CBMという動きが定義されている。
これを言い換えれば、社交ダンスにおいては「土踏まずを押し潰せ!」ということを意味する。
「土踏まずのアーチを作りたいヤツは、社交ダンスの集団から、さっさと出て行け!」と言っているのに等しい。
プロ教師から、こんな指導を受けて、社交ダンス界から消えて逝った人は、少なくないと思われます。 なんとも残酷な話。 合掌!
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