社交ダンスの世界では、少し前まで、ミルコ・ゴッゾーリというイタリア人が世界チャンピオン、つまり「世界で一番上手な人」という扱いになっていました。
ミルコの踊り、特にナチュラル系は、特徴があるのですが、これの解説をしている人は、誰もいない。
ナチュラル系ターンに入るとき、左肩を低くして、左足のスウィングを開始。
ボディが直線的に右足の上を通過して、左足が着地する前後のタイミングで、
ボディが大きく回転する。
最初のナチュラルターンの3歩を見ればわかりますが、、
そのあとのランニングスピンターンは、もっとわかりやすい。
左肩・左腕を、かなり低くした姿勢で、ナチュラル系のターンを行ってます。
この原理は、「解剖学」とか、そんな難しいことを知らなくても、
カラダの右側にある「肝臓」という「大きくて重い臓器」を中心に
カラダの動きを考えていくだけで、誰でも簡単に解析することができる。
簡単に説明すると・・・・
社交ダンス(スタンダード)のカラダの動きは「3つの要素」で説明できる。
【1】丹田(ヘソの下)から左腕(4本の手足)への力の流れを作る。
合気道では気の流れ、太極拳では「勁の流れ、勁道」として最重要項目。
システマはロシア語なので漢字はないが、日本では「力の流れ」と表現。
「力の流れに沿うように、カラダの中の筋肉が動く」と考えればよい。
この力の流れにより、肝臓が浮き上がって「ボディが伸びる」
【2】肝臓を上から押さえつける力を加える
ボディが安定させるために、浮き上がる肝臓を上から押さえ込むのが一番。
左肩を低くしてナチュラル系に入ることにより、肝臓を押さえつける力が
最大化されるので、ボディが安定するとともに、大きな踊りになる。
しかも、肝臓の上から押し込むことで、右足で床を押す、
いわゆるフットプレッシャーが最大になることも重要です。
【3】回転動作は、丹田からの力の流れに直角な力を加える。
武道・武術(ロシアのシステマを含む)で相手を倒すには、
丹田から発した力に対し「外向きの直角な力」を加える方法が合理的。
社交ダンスにおいては、それがそのまま「回転動作」になります。
この3つを知っていれば、ナチュラル系は出来る。
日本の社交ダンスにおいては、
ナチュラル系は、男性の右足の真上で回転動作を起こし、
ボディを内側に倒す(右肩が低い)ように、指導されます。
しかし、ミルコのナチュラル系は、まったく違います。
回転を起こすのは、ボディが右足の真上を通過した後であり、
ボディは外側に倒しています(左肩の方が低い)
根本的に、ベースになっている体の使い方が違ってると考えた方が良い。
この動作は、「肝臓」という「重くて大きい、しかも伸縮しない臓器」がカラダの右側に居座っているこということを知っていれば、解くことができます。
豚の肝臓(レバー)を食べたことのある人は、想像できると思います。
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