肋骨(ろっこつ)と左腕で「枠/frame」を作り、
枠を使って、肋骨の右下の部分をすくい上げて、運んでいけば
カラダ全体が浮き上がり、カラダ全体が進みたい方向に進んでいく。
肋骨という籠(かご)の右側には、「肝臓」という「大きくて重たい塊」が
鎮座していて、「塊」を動かせば、カラダの中にあるたくさんの筋肉が反応する。
この説明をしただけで、3分で理解する人もいれば、
左腕の「ねじれ」の使い方を説明したら「生まれてはじめて、気が付いた!」
という人もいる。
いくら説明しても、カラダ全体を出来ない人もいる。
この一連の動作において、
「左手を動かすと、カラダ全体が持ち上がて、踵が浮き上がる」
というのが出来るか出来ないかは、(生まれてから現在に至る数十年間の)
日常生活による腕の使い方の違いによるところが大きい。
左手で箸を持って、箸を口元で運ぶには、手首を回転させながら肘を曲げていけばいい。
でも、そうすると肘がグラグラ動くし、反復運動によって腕全体がだるくなる。
左手で箸を使うときは、左肘と手首を固定しておいて、「左手の薬指と掌(てのひら)で
肝臓をすくい上げる」動きを加えてやればいい。
そうすれば、左手に持った箸は口元に届く。
「左手でフォークを使う西洋人の食事スタイル」もこれと同様に、「左手の薬指と
掌で肝臓をすくい上げる」動きの反復運動だと考えられる。
「左手の薬指と掌で肝臓をすくい上げる」ことによって、食べ物が口元に届くの
と同時に、肋骨(ろっこつ)全体が持ち上げられることにより背筋が伸びる。
「右手で箸を持つ食事スタイル」の日本人が、同じことをやろうとしても、できない。
人間のカラダは、左右対称になっていないから。
左手で(右側にある)肝臓をすくい上げれば、背筋が伸びるけど、
右手で(左側にある)胃をすくい上げても、食欲をなくすだけで、背筋は伸びない。
余談になりますが、椅子に座って「背筋を伸ばした姿勢」を作るとき
「左手で、肝臓をすくい上げるようにすれば背筋が伸びる」
という方法がありますが、日本国内においては、
「骨盤を立てて、背骨の湾曲を減らし、胸を持ち上げて、背筋を伸ばす」
という指導(もしくは、躾)になっていることが多いように思います。
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さて、ここで、社交ダンスから離れて、
「左手(または右手)を使って、肝臓をすくい上げる力を最大化させて、
カラダ全体を、最大限に持ち上げたときの安定した姿勢」
がどのようなものか? これについて、考えてみましょう。
肝臓の位置に、左手の薬指と「掌(てのひら)の小指側」をくっつけておいて、
肝臓をすくい上げるようにして、左手首を動かしていくと、肋骨全体が引き上げれ
られるような感覚になり、カラダ全体が浮き上がってきます。
この動きを最大化していくと、踵(かかと)が浮き上がってきます。
足の裏全体を床に張り付けて姿勢を低く保とうとしていても、「腕の力に連動する
カラダ全体の筋肉の方が強い」ので、踵(かかと)が高く浮き上がります。
「最大に肝臓をすくい上げることができる、左腕の位置」
「最大に、カラダ全体を持ち上げ、最大の歩幅で動くことが出来る左腕の位置」
は、なぜか「社交ダンスの左腕のホールドの位置」と、ぴったり一致する、
今度は、右腕を使って、肝臓をすくい上げてみる。
右腕で、右腹部に位置する肝臓を持ち上げるのは、かなり難易度は高い。
一旦、右手の中指を中央(鳩尾の位置に)に動かして、わきの下に向かって
斜めに、右手の薬指を引き上げるのが、「右手で肝臓をすくい上げる」ときのコツ。
最大にカラダが浮き上がるのは、アタマを左後方に伸ばしながら、右手首を右上に
伸ばしていったとき。
「肋骨と右腕の枠(frame)」を保持しながら、右腕を伸ばすと、カラダ全体が浮き
上がってくるけれど、枠が崩れるたとたんに、ストンと落ちる感じになる。
ここから、カラダ全体を少し右に回転させると、背骨がまっすぐになって、右手の指が
肝臓の正面に来る。
面白いことに、この姿勢(右腕の位置と、頭の位置)は、社交ダンスの女性のホールド
と、男性のホールドに一致する。
前述の左腕のホールドの位置も含めていうならば、
「肝臓をすくい上げて、カラダ全体を持ち上げ、肝臓を前方に運ぶ」
ことを追及していくと、最終的には「社交ダンスのホールド」と、
まったく同じホールドが出来上がるということ。
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日本の社交ダンスでは、
「肘を真横に伸ばして、カラダを固めた、窮屈なホールドを作らせて
姿勢が崩れたら、生徒を叱りつけることで、レッスン料を受け取る」
という指導を行っている。
「なぜ、社交ダンスのホールドの形が決めらてたのか?」ということは教えない。
「肘を真横に張って、崩れないようにする」のが「イギリス人が決めたルール」
だから問答無用で、それに従うように!!! という徹底した指導を行っている。
「肋骨と腕の枠を使って肝臓をすくい上げれる」ことが出来れば、きれいな社交
ダンスのホールドが作れるし、枠が崩れれば、ホールドが崩れる。
枠が崩れないように、腕の筋肉を変化させていけば、大きな踊りができる。
でも、これは「子供から老人まで、同じ基礎で踊り、一人の落伍者も出さない」
ことを目指している、日本の社交ダンスのプロ教師による指導方法。
生徒に「できない」ことをやらせて、生徒がやめて行ったら、先生の責任!
肘を真横に伸ばして立たせる指導によって、
「肋骨と枠を作ることも、肝臓をすくい上げることも絶対に不可能な姿勢」
を、全員に叩き込むことにより、「子供から老人まで、同じ基礎で踊り」を
実現させる。
みんな平等! 参加者全員に対して、まったく同じ指導ができる!
これはこれで「考え方」としては正しいかもしれませんが、根本的に、なにかが
違うような気がする。
肘を伸ばして軸(axia)を維持しながら踊るのと、肋骨と腕で枠(frame)を維持しな
がら踊るのとは、踊りに対する考え方が根底が違っている。
初心者の時に「軸の踊り」を叩き込まれた人の多く(特に男性)は、100年
経っても「枠の踊り」に転向できない。
つまり、死ぬまで「軸の踊り」を踊り続けることになる。
だれがどんな踊りをし、どんな踊りを教えるのも自由だけれど、
他人の指摘を一貫して無視し続けたままで、自分の踊り方だけが「正しい踊り」で
あるがごとく、教えようとすることは、非常に危険な行為である・・・・と思う。
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