社交ダンス(特にスタンダード種目)は、年齢比率が極端に偏っており
還暦を超えた「いわゆる高齢者」が、上位を独占しており、
若い人が死ぬほど努力しても、競技ダンス界には入り込めない仕組みができあがっている。
若い人が勝ち上がる方法は、「高齢者の真似をする」「高齢者と同じ踊り方をする」こと。
こんな不思議なダンスは、日本の社交ダンスくらいであろう。
日本の社交ダンスは
子供から高齢者まで、誰でもが理解出来るカラダの動かし方をし、
初心者だろうが、高齢者だろうが、ともかく、落伍者も出さない指導。
を目標にしている。
すべての人が「80歳の高齢者」と同じ基礎で踊ることを大前提として、
若い人は、「膝と足首の屈曲」という「パワー」を最大化させて差別化を図る。
これが日本の社交ダンスであり、日本のプロ教師の指導方法である
「街中でのバトル」などで「技」を持っている人が勝ち残るストリートダンスや
大勢の人の中から、オーディションで「技を持っている人を選別する方式とは、
根本的に「考え方の根っこの部分」が違っていると考えていい。
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「音楽に合わせてカラダを動かす」には、どうしたら良いか?
人間のカラダには、いくつかの「重い塊」の部位があるので、
意識的に「重い塊」の部分を動そうとすれば、
カラダ全体が「重い塊」と同じ方向に動く
であろうことは推定できるし、
意識的に「重い塊」の部分を動そうとすれば、
カラダ全体の筋肉が「重い塊」を動かすために反応する
であろうことも推定できる。
人間のカラダの「重い塊」を3つあげると、大脳・肝臓・小腸
頭蓋骨の中にある「大脳(のうミソ)」
右の腹部、肋骨の中にある「肝臓」
骨盤という皿の上に乗っかっている「中身の詰まった小腸」
大脳を前方に倒せば、無意識に足が出て、カラダが進むし、
膝と足首の屈伸を最大化させれば、小腸を「乗っかった皿(骨盤)」ごと
運んでいけばカラダ全体が移動する。
この動きを指導すれば、子供から高齢者でも誰でも理解出来るし、
これを反復練習していれば、「出来ない」ことによる脱落者は出てこない。
(反復練習に飽きて辞めていく人は、たくさんいるだろうけど)
一方、「肝臓をすくい上げるようにして、移動させれば、カラダ全体を動く」
という動きは、(子供から高齢者まで)万人が直感的に理解できるとは言えない。
肝臓は、右腹部にあるため、左腕と連動しやすい反面、右腕とは連動しにくい。
万人に理解されないから「禁止すべき」という考え方もあれば、
万人に受け入れられないからこそ、「出来る人は取り入れるべき」という考え方もある。
日本の社交ダンスでは、「多くの日本人は左腕を使うのが苦手」であり、
「多くの高齢者は、普段と違った動きを考えることを好まない」という傾向のため
「左腕の筋肉の変化を使って、肝臓を中心とした右腹部の動きを生み出す」
・・・と言うことを、徹底的に否定し続ける。
それが、日本の社交ダンスである。
右腹部にある肝臓を下方に沈めれば、相対的に胸を持ち上げた感覚が得られるので
意図的に肝臓が上がらないホールド(肝臓と連動しない左手)を指導することで、
重心を低く、かつ、胸が持ち上がった、正しいという自己満足が得られる姿勢が
得られやすい。
実際、日本の社交ダンスにおける指導方法だったりする。
肝臓を沈める姿勢であれば、子供でも高齢者でも、誰でも同じ動きが出来る。
肝臓を沈めて、胸を吊り上げれば、膝と足首の屈伸を最大化できる。
でも、それって、本当に「正しい社交ダンスの動き」と言えるのだろうか?
日本の社交ダンスのプロ教師は、この疑問に、口が裂けても答えない。
絶対に答えない!
それは、何故だろうか?
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