社交ダンスには、「ナチュラル系」と「リバース系」という2つの動きがあります。
上から見下ろした時、ナチュラル系は時計回り、リバース系は反時計回りの軌跡を辿ります。
(後退はややっこしので)前進動作に限って言うならば
・ナチュラルターン=面舵(おもぉ~かぁじ)=右折(右に曲がる)
・リバースターン=取舵(とぉ~り かぁじ)=左折(左に曲がる)
になります。
ターンとか回転とか言っても、足の上でクルクル回るのとは違います。
で、ここまでのことは、そこらじゅうに書いてあるのですが、
社交ダンスの面白さは、「ターンの特徴」。 これに尽きます。
他のダンスの「回転動作」とは、根本的に違うものがあります。
まずは、気分転換、一度、社交ダンスを離れてみましょう。
簡単なアタマの体操です。
これは、クルマの車庫入れです。
ハンドルを切ると、タイヤの向きが変わり、クルマが曲がる。
前進で突っ込むよりも、バックで入れた方が、入れやすい!
・・・ということを経験してる人は多いと思います。
バックだと車庫入れしやすいのは、何故でしょうか?
答えは、「『方向を変えるタイヤ』の位置」の違いです。
社交ダンスの「ターン」を考えるときに、この違いは重要です。
下の4つの動きの違いを、比べてみれば、一目瞭然です。
日本の社交ダンスの多くは【く】の動きをベースにしています。
両肘を真横に伸ばして、カラダをカチンカチンに固めて
右足の上に体重を載せて、右足の上でターンを行う。
シンプルでよいのですが、前後に「厚み」がありません。
人間は4本足から進化して、左右の「後ろ足」で立っています。
なので、タイヤ4本の【か】【き】の動きの違いを検証します。
両手で大きなビーチボールを抱きかかえて、シャドウします。
【か】は普通自動車。前側のタイヤの向きが変わります。
クルマの前輪を右に向けるやれば、右折できます。
人間であれば、肩や腕の向きを右に向けてやれば、
カラダは右に曲がっていきます。
あるいは、床に接する「足」を「前輪」だと考えて、
足を右に向けた場合でも、カラダは右に曲がります。
【き】はフォークリフトなど、特殊な乗り物です。
後ろ側のタイヤの向きが変わるタイプで、小回りが
効くのが特徴です。(前輪の向きは固定されてます)
こちらは、右折するときは、タイヤを左に向けます。
「後輪を、曲がりたい方向と、逆の方向に向ける」
ということになります。
人間であれば、骨盤や二本の足は、後輪だと考えます。
ナチュラルターンであれば、スウィング左足を、
「前方・少し左」に振り出してやれば、カラダ全体が
(意識的に右に曲げなくても)右に曲がっていきます。
鋭い右カーブの時は、骨盤を左前方(円の外側)に
向かって、ぶん投げるようにすると、カラダは右に
曲がります。 納得しずらい不思議な動きなのですが、
「後ろ側のタイヤの方向」を考えれば説明が付きます。
最後に、男性と女性が向かい合わせに組んだ時の
ナチュラルターン(男性前進・女性後退)動きの比較です。
【さ-た】は、お互いの肩や腕の向きを変えながら
「曲がる動作」を行った場合です。
お互いのボディが絡み合って、ギクシャクします。
【し-ち】は、お互いの「後輪」の向きを変える方法
これだと、スムーズなボディのコンタクトが保てます。
残念ながら、日本のプロ教師が書いた、本や参考書類
を読み漁ってみても、このような動きの解説は、全く
みかけませんでした。
なお、日本の社交ダンスの「教師試験」は、昔から
ずっと、【す-つ】が前提になっているようです。
お互いがお互いの片足の上で「曲がる動作」を行う
ことになるので、後退側が「逃げる」必要が生じます。
社交ダンスにおける、すべての踊り、すべての動作の
「正解」を、【す-つ】の中から探し出そうとすれば、
とても複雑怪奇で、かつ合理性のない「作られた動き」
になるように思います。
自分が知ってる限られた世界の中から「正解」を
ひねり出したとしても、それが「本当の正解」なのかは
怪しいです。
自分の知らないところにある「正解を探しに行く」
ほうが、ずっとずっと面白いと思います。
どうでしょうか?
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