日本の社交ダンスのプロ教師が書いた本を読んでいると、
あたかも、自分のカラダの動きが、すべての人間に共通の「常識」であるかのように、書いていることが多い。
その認識が、日本の社交ダンスをダメにしている・・・という話。
スプリンターというか、陸上競技の話。
マック式スプリントドリル。
西洋人は、膝を持ち上げても、膝は高く上がらない。
「膝を持ち上げる」ことを意識すると、足が前方に進んでいく。
体感的は体重のバランスは、支え足と動く足の両足に分散する。
支え足はカラダを支えているだけ、反対の膝を持ち上げれば、カラダは進む。
日本人は、膝を持ち上げると、いくらでも高く、膝が上がる。
膝を持ち上げても、足は前に進まない。
膝を持ち上げれば、持ち上げるほど、体重は支え足に集中する。
ちっとも、前に進まないので、支え足でカラダを前方に送り出して進もうとする。
じゃぁ、教える側が「西洋人」で、習う側が「日本人」だったら、どうなるか?
西洋人が、日本人の動きを熟知していれば、この違いを説明してくれる。
だけど、ほとんどの西洋人のコーチは、「日本人の特殊な動き」など、理解していない。
結果として、どうなるか?
「陸上競技の練習方法」でのエピソードがある。
ポーランドからコーチを呼び寄せて、日本の陸上選手に「膝を持ち上げる」ことを教えた。
日本人の陸上選手は、毎日必死に、「太腿を持ち上げる練習」を繰り返した。
そして、その練習方法は、日本中に広がった。
だけど、再来日したコーチが、日本人の陸上選手をみて、びっくり仰天。
「膝を持ち上げれば、自然に足が前に出て、カラダがどんどん進んでいく」
と教えたはずなのに、日本中の陸上選手が
「膝を持ち上げて、後ろ足(支え足)で、カラダを送り出して進んでいく」
という間違った解釈し、間違いに気づかずに、ひたすら練習していた。
という話。
日本の社交ダンスのプロ教師は、年配の人が多い。
「マック式スプリント・ドリル」を誤解している時代のプロ教師が多い。
膝を持ち上げる(ニーアップ、ハイニー)の解釈をみれば、社交ダンスの矛盾点が見えてくる。
20年前の、日本の陸上界と、同じ過ちを犯しているような気がする。
西洋の陸上のコーチャー、ゲラルド・マック氏は、日本人の間違いに気づいて、間違いを指摘した。
じゃあ、西洋人の社交ダンスのコーチャーはどうだろうか?
日本中でダンスを踊っている日本人が、間違った踊りをしていたとして、間違いを指摘するだろうか?
誰も、そんなこと、しないだろう。
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