日本の社交ダンスにおいて「送り足」ということば、よく使われている。
しかしながら、本や雑誌などの「文字媒体」で送り足という文字を見かけることは、珍しい。
三輪嘉広先生の「東大方式 ボールルームダンシング 完全上達プログラム」の中に、「送り足」の記載がある。
トップクラスのプロ教師、しかも東京大学出身の先生の言うことが、間違っているはずが無い!
・・・と思いがちですが、三輪先生は、根本的な間違いを、二重三重に犯しています。
日本の社交ダンスにおいては、
「送り足とは、大きく踊るための、高度なテクニックの一つである」
というのが、
「世間知らずの一部のプロ教師を除く、大多数のダンス愛好家の共通認識」
であることを、教える側のプロ教師は、理解すべきだと思います。
この文章は、「プロ教師としては、犯してはならない致命的なミス」があります。
わかりますか?
三輪先生がなんと言おうと、社交ダンスの「送り足」は、「社交ダンスを大きく踊るテクニック」です。
A:通常歩行より小さな歩幅で踊っているAさんが、通常歩行の歩幅に近づけるためのテクニック
B:通常歩行より大きな歩幅で踊っているBさんが、最大限の歩幅を目指すためのテクニック
AさんもBさんも、「普段より大きな歩幅で踊るためには、どうすればいいか?」を考えます。
そして、2人とも「普段より大きな歩幅で踊るためのテクニック」を身に付けていきます。
じゃぁ、二人の「大きく踊るためのテクニック」は、同じテクニックなのでしょうか??
違います。
Aさんが考えたテクニックは、
「前足を前方に伸ばしたとき、倒れるよりも速く、支え足でカラダを前方に送り出す」方法
Bさんが考えたテクニックは、
「前足を前方に伸ばした時、倒れないように、カラダを支え足の上に残しておく」方法です。
生徒が目指している踊りが、「通常歩行よりも大きな歩幅か、小さな歩幅か」によって、
先生が教えるべきテクニックが変わりますし、実際、先生によって教え方が違います。
三輪先生は、「送り足=Supporting Foot」だと思い込まされていますが、これも違います。
Aさんの考えたテクニック、つまり「通常歩行よりも、小さい歩幅で踊る人のテクニック」を
叩き込まれたために、「送り足=支え足」だと思い込んでしまった・・・のだと思います。
この姿勢から、前足を前方に振り出して、前足の靴を前方へ進めるには、どうすればよいでしょうか?
答えは、「通常歩行よりも大きな歩幅か? 小さな歩幅か?」によって異なります。
通常歩行より小さい歩幅のAさんが、通常歩行の歩幅に近づけるのであれば、
【赤】のように、膝を支点として、膝下を前方に振り出しながら、支え足でカラダを前方に送り出せばいい。
三輪先生が否定している、「ロア&プッシュ」こそが、正しい踊り方(模範演技)になります。
この場合、「支え足でカラダを送り出す」ので、「支え足=送り足」になります。
でも、通常歩行より大きな歩幅のBさんが、最大の歩幅を目指すのであれば、話はかわります。
【青】のように、膝と足首の真ん中を支点として、靴を遠くに伸ばしていきます。
そうすると、膝は後ろに下がり、股関節も後ろ引いた状態を保てるので、めいっぱい大きく足を振り出しても、ボディが倒れることはありません。
この場合、剣道などの武道の送り足の足裁きと同じになるので、「動く足=送り足」となります。
どちらのテクニックも、プロ教師として、「正しい教え方」だと思います。
で、ダメダメなのが、三輪先生。
「通常歩行との歩幅の比較」を理解していないから、根本的な間違いを犯してしまう。
「送り足は英語で、サポーティングフット」とか、そんなのは、生徒が混乱するだけです。
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