日本の社交ダンスにおいて「送り足」ということば、よく使われているが、「文字媒体」で送り足という文字を見かけることは、珍しい。
三輪嘉広先生の「東大方式 ボールルームダンシング 完全上達プログラム」の中に、「送り足」の記載があるが、その中で、三輪先生は、根本的な間違いを犯している。
日本の社交ダンスにおいては、誰がなんと言おうと
「送り足とは、大きく踊るための、高度なテクニックの一つである」
というのが、大多数のダンス愛好家の共通認識。これは紛れもない事実。
今回は、三輪先生の文章と比較するための文章を作ってみました。
伝えたいことは、三輪先生と同じだと思うけど、表現方法は違います。
比べてみて下さい。
●三輪先生の「送り足」の説明
●山象の「送り足」の説明
テレビで、スキーのジャンプ競技を見ていると「K点」とか「K点越え」とかいう言葉が出てくる。
なんだか、よくわからないけど、刺激的な言葉である。
ジャンプの「K点」に相当するモノが、社交ダンスを踊る際の「通常歩行における歩幅」「通常歩行で着地したときの支え足からの距離」だとすると、おもしろいものが見えてくる。
昔は「K点(通常歩行の歩幅)を超える踊りは、姿勢が崩れるので危険行為」とされていたが、時代が変わり、現在では多くの競技選手が「通常歩行の歩幅(K点)を超える踊り」を踊っている。
社交ダンスにおける「K点超え」の踊りを考えていけば、「送り足とは何か?」が見えてきます。
わかってしまえば、話は簡単です。
「K点越えは危険」つまり「通常歩行より大きな歩幅では姿勢が崩れて危険」とされた昔の日本では、「低くなって、支え足でプッシュする」という「送り足」という高度なテクニックが、社交ダンスを指導する多くの「プロ教師」によって推奨されてきた。
そして、「送り足を使う」という言葉が、伝家の宝刀のような響きをもつことから、「ロア&プッシュ=送り足」というのが「日本の社交ダンスの常識」として広った。
結果、日本全国いたるところで、「送り足で押せ」という号令がかけられているように思う。(私も、ダンスを始めた当初はそう習った)
歴史は変わり、技術の進歩や音楽の速度の変化により、「K点越え」つまり「通常歩行を超える歩幅」で踊るダンサーが増えてきた。
K点(通常歩行の歩幅)を超える踊りをするには、「支え足でカラダを送り出す」テクニックは逆効果。
大きく踊るためには、カラダが支え足の上に残しながら、靴を前方に運んでいくテクニックが必要になってくる。
しかしながら、ダンスを始める一番最初に「送り足で押せ」と叩き込まれているから、それはもはや常識になっており、「K点越えによって、大きく踊るためのテクニックが一変する」ことに気づく人は少ない。
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こんなふうに書いた方が、わかりやすいと思います。
全然違うことを書いているように見えるかもしれませんが、「伝えたいこと」は、三輪先生と同じです。
昔の踊りは、「通常歩行より小さな歩幅で踊る」のが常識。その時のテクニックが「送り足」
現代の競技選手は、「通常歩行よりも大きな歩幅で踊る」で、昔の「送り足」の概念は通用しない。
このほうが、わかりやすいですね。
「K点(通常歩行の歩幅)越えを危険」とされた昔の「送り足」は「大きく踊るためのテクニック」。
昔の「K点(通常歩行の歩幅)を目指す」多くのダンサーにとって、大きな意味をもつ言葉です。
「K点越え」があたりまえとなった現在、
「送り足」を単なる「支え足」という意味で使うのは、明らかな間違いであり、混乱の元。
教本 Ballroom tequnique で使われている、「支え足」「動く足」という言葉が使うに使うべきです。
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