日本国内で大きく踊るためのテクニックとして、有名な「送り足」というテクニック。
ところが、社交ダンスの公式用語である英語には、「送り足」に該当する単語が存在しない。
今回は、そんな「送り足」というテクニックと
「スウィングダンスの基本は、足のボールの上に立つ」という踊りの大原則を照合してみます。
大きく左足を前に出し、大きく進んで、大きく踊る!
このときの「足の裏に掛かるウェイト、「足の裏のバランス」を、一つ一つ、冷静に考えていくと、
面白いことが見えてきます。
両足を揃えて、静かに立っている(カラダ全体が完全に静止している)ときは、ボールウェイトです。
ここから、左足の膝を少し持ち上げ、左足を13cm(足の長さの半分)くらい、前方へ動かすと
支え足(右足)のバランスが崩れて、支え足(右足)のトォに集中して、ヒールが浮き上がります。
そして、さらに左足を前方へ動かすと、支え足(右足)のトォよりも前方に体重が移動するため、
カラダ全体が前方へ倒れ込みます。 これでは、左足を大きく出すことができません。
そこで、支え足(右足)のヒールを持ち上げて、右足の膝を伸ばしながら、カラダ全体を前方に送り
出す。 カラダ全体(というより、股関節よりも上の「肉の塊」)が、ブオォォ~ぉ!と前方に進み
見える景色すべてが、次から次へと遙か後方に消えていく。 そんな動きが10秒くらい続く。
ダンスを習いたての高校1年生が、世界チャンピオン顔負けの大きな歩幅で、競技のフロアーを
豪快に駆け抜けることが出来る。まるで「マンガ」の世界。
いいじゃないですか「アニメ」なんだから。アニメなら、すべてが許される。
じゃぁ、これのどこに「スウィングダンスは、ボールの上に立つ」という大原則があるのでしょうか?
両足を揃ってた瞬間に、胴体が足の上を通過する「ほんの一瞬」だけ、「ボールの上に立っている
姿勢」が成立すれば、それが「ボールの上に立つ」ということなのでしょうか?
日本の社交ダンスは、「屁理屈をねじ伏せて、有無を言わせずに、不合理な動きを叩き込む」のが
日本のダンス教室の理想形態・・・みたいな感じになっている部分があるようです。
こんなのは、「マンガの世界」だけにしてほしいものです。
現実離れした、マンガの世界の「すべての景色が前から後ろへ流れていく」イメージで練習して
どれだけ上手になるでしょうか?? ものすごく、疑問です。
-*-*-
ここでは、現実的に
「大きく踊る感覚を養うための、誰でも出来る簡単なエクササイズ(イメージトレーニング)」
を紹介しましょう。
「幅90cm、つまり、やたらと幅の広い平均台を歩く練習」です。
地面より高いところにある「平均台」から落ちないように、バランスを取りながら歩く練習。
落ちたら死ぬぞ! と思いながら、恐る恐る平均台の上を歩く。
ただし、通常の平均台の幅は10cmくらい(とても狭い)なのですが、
エクササイズでは、90cm(畳の幅)の平均台の上を歩く練習。
畳の上を歩ける人なら、「90cm幅の平均台」を歩けない人はいないでしょう。
平均台の上を歩く時は、
「バランスが崩れたら、バランスを立て直す方向に、カラダ全体の筋肉が動く」
ことが重要です。
「右足のボールの上に立ち、少しずつ、左足を前に出していく」
「バランスが崩れて、カラダが前に倒れそうになったら、カラダ全体のありとあらゆる筋肉を
微妙に、変化させながらカラダが倒れないようにバランスを取ろうとする」
「左足を浮かせるか、僅かに平均台に接する感覚で、静かに左足を前方へ伸ばしていくと、
支え足(右足)の足の裏に掛かるウエイトは、ボール(母趾球のあたり)に、居続ける」
このバランス感覚は、「10cm幅の平均台」でも「90cm(畳の)幅の平均台」でも同じ。
バランスを崩して、カラダが倒れそうになったら、カラダ全体の95%の筋肉を、
「支え足の上にバランスを戻す方向」に使いつづける。
残りの5%を、別の方向に動かそうとすれば、簡単に「支え足と反対の足」が動いて、
カラダ全体が動いていく。
下を向くと、バランスを崩して倒れてしまうので、絶対NG。
なにがあっても、顔は、水平方向を向けておく。 下を向いてはいけない。
そして、視線を降ろして「4m先の床」をのぞき込むようにすると、カラダは前に倒れなくなる。
「顔を動かさずに、視線を下げる」ことにより、「支え足のボール・ウエイト」が保たれる。
「視線を下げる」ことにより、足の裏のウエイトが、トォに移動せずに「ボールに残る」。
「どんなときでも、ボールにウエイトを残しておく」
そのために、カラダの大部分の筋肉を「支え足の上にウエイトを残す」方向に使う。
このカラダの使い方こそが、「ボールの上に立つ」の大原則なのだと思うのですが・・・
日本のプロ教師は、理解しない。
カラダ全体を一つの「肉の塊」と考え、その「肉の塊」をぶぉぉ~ぉ!と前後に動かす。
静止している時と、「肉の塊が足の上を通過する瞬間」だけが、「ボール・ウエイト」
それをもって、「スウィングダンスは、ボールウェイト」だと教えるのが、日本の社交ダンス。
どう考えても、マンガの世界だろう。
矛盾だらけのマンガの世界を、無理矢理、生徒に教えつけるのが、日本の社交ダンス。
昭和末期から平成初期にかけての「昔の東京の社交ダンス」なのだろう・・・と推測できます。
|