コテコテの「日本の社交ダンスの常識」を、東洋医学の経路・経穴の視線から捉えてみると、
いろんなものが見えてきます。
今回は、社交ダンスの「初歩の初歩」について考えてみます。
左の本が、「ビジュアル版、東洋医学 経絡・ツボ(経穴)の教科書」
~医療関係者、鍼灸志を目指す学生 必見の一冊
比較対象の右の本が「ボールルーム解剖学 スタンダード編」
~筋肉を制すれば世界を制する
タイトルだけ見れば、東洋の武道・武術は、東洋医学である経路・経穴(ツボ)を使い
西洋の社交ダンスは、西洋医学の「クソ難しい筋肉」を、自由自在に操って踊るんだ!
・・・みたいな錯覚に囚われて、その錯覚から抜け出せなくなってしまう!
そんな錯覚のドツボに嵌まり込んでいるのが、コテコテの「日本の社交ダンスの常識」
なのかもしれません。
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さて、ここで問題です。
社交ダンスで、
(1)胸を張った、大きなホールドを維持するには、どうすれば良いでしょうか?
(2)クビを伸ばして、視線を落とさずに踊るには、どうすれば良いでしょうか?
これの図を見れば、答えが見えてきます。
問題(1)の答えは、左側の図
腕を持ち上げて、肘の位置を固定してから
「胸→腕の内側→てのひら→中指」を結ぶ経絡上にあるツボを、
自分で押す(変化を加える)か、相手に押して貰えば、
胸が落ちなくなるので、大きなホールドを維持できる。
問題(2)の答えは、右側の図
腕を持ち上げて、肘の位置を固定してから
「薬指→手の甲→腕の外側→クビ筋→耳→目の上」の経絡上にあるツボを
自分で押す(変化を加える)か、相手に押して貰えば良い。
薬指を意識すれば、自然にクビが伸びていき、視線が上を向きます。
社交ダンスのホールドは、腕を持ち上げて、肘を固定すれば、経絡上にある経穴(ツボ)
特に、肘よりも先端の「前腕」「手首」「てのひら」「指」の経穴(ツボ)、
反応しやすくなります。(結果、胸やクビが伸びて、姿勢が保ちやすくなります)
興味深いのは、社交ダンスのホールドというのは
「相手がツボを操作しやすいように、男女のコンタクトが作られている」
という特徴をもっています。
自分で経穴(ツボ)を押すよりも、相手にツボを押して貰った方が簡単です。
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じゃぁ、日本の社交ダンスの常識は、どうなっているのか?
コテコテの「日本の社交ダンスの常識」においては、
「見かけ状のホールドの形を重視して、形を崩さずに踊り続ける」ことを
初心者の頃から、カラダに叩き込ませていきます。
結果的に、腕と胴体を繋ぐ「経絡」が、完全に遮断されてしまってます。
だから、「腕」というものが単なる「飾り」になってしまっていて、
経絡・経穴(つぼ)という重要な概念が、まったく機能しない踊り方になっていきます。
多くのダンス教室においては、○○筋と○○筋を伸ばして、内臓を持ち上げて胸を引き上げて!!
みたいなことを教えます。
コテコテの「日本の社交ダンスの常識」では、「筋肉は、伸ばしたままで固定するために使う
モノ」という考え方が、すべてを支配しています。
だから、社交ダンスを踊るときには、競い合って、必死に、筋肉を伸ばし続けようとする。
実際には、「筋肉を伸ばす」という動作は、近くにある「別の筋肉」を縮めているに過ぎない。
日本の社交ダンスのプロ教師の多くは、人間の筋肉を、クルマのジャッキや、油圧シリンダー
みたいに、伸ばして持ち上げて固定するアイテムであるかのような、潜在的な誤解の上に成り
立っているように思います。
実際には、筋肉というのは「ゴム」と同じ役割を果たします。
別の筋肉によって両端を引き伸ばして貰って、そこから別の筋肉を緩めたときに、
「筋肉が縮むときの力」が働く子tによって、筋肉の機能を発揮します。
「子供からお年寄りまで、初心者からチャンピオンまで、同じ基礎で、みんな仲良く踊りましょう」
みたいな発想から出てきたのが、日本の社交ダンスの指導方針だから、実際の筋肉の動きがどうで
あれ「筋肉を伸ばせ!」という体感的な意識でよいのかもしれませんが、なにかが根本的に間違って
いるような気がします。
医学博士でも知らないような筋肉を持ち出してきて、その筋肉を伸ばしなさい! みたいな・・・・
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