日本の社交ダンスには
「子供も社会人も高齢者も、初心者もチャンピオンも、同じ基礎で踊りましょう!」
「厳しい練習を積んで来た人も、ほとんど練習しない人も、誰でも平等に踊りましょう!」
という、すばらしい概念があります。
そうすれば、世界中の誰もが、「平等」に、仲良く笑顔で、社交ダンスが踊れますよね。
しかしながら、現実はそうじゃない。
子供や学生に教える時には、、社会人や高齢者とは完全に「隔離」してますし、
トッププロの子供には、社交ダンスを習わせずに、バレエを習わせているのが現状。
何故でしょうか?
社交ダンスを離れて、太極拳の世界を考えてみればいい。
「若い頃から数十年にわたって、厳しい修行を積んできた、太極拳の達人」
と
「○○文化センターの太極拳入門3ヶ月コースを終えた、80歳のおばあさん」
は、同じ基礎で同じ動きをしているのかどうか?
カルチャーセンターの3ヶ月で、「達人と同じ動き」なんて、取得出来るわけがない。
どう考えても、「達人」と「80歳のおばあちゃん」は、違うだろう!!!
赤が(カラダ内部のインナーマッスル)、ピンクが(脳からの指令で動く)アウターマッスルです。
右側の動きが、初心者の動きですね。
初心者は、丹田から発する「勁の流れ」なんて作ることができない。
だから、インナーマッスルを丹田に凝縮させて、「丹田の塊」を作ります。
そうすれば、肩の筋肉を使って腕を持ち上げたり、肘の筋肉を使って肘を伸ばしたり
膝と足首を使ってカラダ全体を運んだり、「頭で考えた通りの動き」が出来ます。
胸を張るときには、丹田の塊を踏み台にして、カラダの表側(胸側)の筋肉を伸ばして、
カラダの裏側(背中側)の筋肉を縮めてやればよいわけです。
ともかく「頭で考えさえすれば、頭で考えた通りに、カラダ全体が動きます」
「太極拳の達人」が、「○○文化センターの初心者コースの生徒」と同じこととして
いるかといえば・・・・するわけないです。
武道にせよ武術にせよ、太極拳にせよ、指導方法は同じでしょう。
「頭で考えようとしているうちは、『勁の流れ』『気の流れ」なんて作れない!
頭を空っぽにして、頭で考えることを辞めたとき、はじめてスタート地点に立てる」
みたいな感じの指導方法になっているはずです。
日本の社交ダンスのプロ教師試験で合格するのは、どちらなのか?
左側・・・・と言いたいところですが、実際は、右側です。
「社交ダンスを習いたい」という生徒に対して、右側の指導を行うことが出来る先生
こそが、優秀な先生として「高い評価」を受けるわけです。
左側も右側も「丹田を意識して踊れ!」「インナーマッスルを使って踊れ!」
という条件を、完全に満たしています。
左側は初心者には理解出来ませんが、右側は初心者にも理解出来ます。
なので、初心者に対して「丹田を意識して踊れ!」「インナーマッスルを使って踊れ!」
という指導を行えば、ほとんどの初心者は、右側の解釈をするでしょう。
「右側の初心者の生徒」と同じ踊り方をする「右側の踊りをする先生」こそが、
高く評価されるわけです。
「インナーマッスルを使え」という言葉を連発するけど、
「インナーマッスルをどんなふうに使え!」とは、口が裂けても言わない
・・・・これが、社交ダンスを教える時の「肝」です。
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