社交ダンスのプロの先生は、よく「インナーマッスルを使って踊りなさい」と言う。
だけど、「インナーマッスルをどのように使えばいいのか?」は、一言たりとも教えない。
なぜか? 教える側の先生が「ほんとうは、なにもわかっていない」可能性が高い。
アウターマッスルは、脳からの指令を出せば、そのとおりに自由自在に動いてくれる筋肉。
インナーマッスルは、カラダの深い部分にあり、脳からの指令では、動いてくれない筋肉。
じゃぁ、どうすれば、インナーマッスルが動くのか?
一つの方法として、「丹田からの〔気〕の流れ」とか「力の流れ」とかを意識すると、
その流れに沿う方向(流れを円滑にする方向に)に、インナーマッスルが動いてくれる。
日本の合気道には、「気(もしくは合気)」があり、ロシアの軍隊の格闘術(実際は、
旧ソ連のスターリンの護衛部隊が発祥?)であるシステマにも、似たような考え方がある
「らしい」
じゃぁ、中国発祥の太極拳は、どうなのか?
「陳式太極拳」の本をみると、「勁力」とか「発勁」とか「勁道」とか、そんな言葉が
書いてあります。
「勁(けい)」というのがあって、「勁」を発するのが「発勁」
「勁」の流れる道が「勁道」。
「勁道に沿うようにして、インナーマッスルが動く」と考えればわかりやすいですね。
丹田から発した勁力が、てのひら(もしくは指先)に向かって、流れていく。
勁道が途中でストップして、詰まってしまったら、その時点でNG!
単純でわかりやすいですね。
「腕を伸ばすときに、ループを描く」動作は、
丹田から肩を通って、てのひらに向かって勢いよく流れる「勁力」の流れを、
脳からの直接指令によるアウターマッスルを使って、直角(垂直)の力を加えること。
「後ろ足をねじる」動作は、丹田から足の裏に向かって流れる「勁力」の流れを
脳からの直接の指令で、ふくらはぎに「アウターマッスルの力を加える」ことで、
丹田付近の「勁力」の流れを変えている
・・・というふうに考えたほうが、「太極拳を知らない人」には、理解しやすいのかな?
という気がします。
合気道で言う「気」の流れ、システマでいう「力」の流れ、太極拳でいう「勁」の流れ。
いずれも、丹田から発して、てのひらや足の裏に向かっての「流れ」です。
これに、脳からの指令で自由自在に動く「アウターマッスル」の伸縮を加えてやれば、
カラダ全体に「大きく滑らかな動き」が発生する・・・・はず。
じゃぁ、日本の社交ダンスの基礎は、どうなっているでしょうか?
日本の社交ダンスのベストセラー、金沢正太氏の「プロが教えないシリーズ」の冒頭
完全に、丹田~肩~てのひら の「勁道」は、肘の部分で、完全に「ぶち切れ」てしまいます。
人間が本来持っているであろう、合気道でいう「気」の流れ、太極拳でいう「勁」の流れに
相当するカラダの動きを、完全に断ち切ってしまうのが、日本の社交ダンスです。
「インナーマッスルをカチンカチンに固めることで、脳からの指令によらない想定外の動きは
一切遮断し、脳からの指令によるアウターマッスルだけでカラダを動かす」。
こういうのも「インナーマッスルを最大限に使った動き」ということになります。
これは、どうでしょうか?
体重を完全にヒップに乗せて回転しようとすれば、合気道の達人だろうと、太極拳の達人だろうと
同じことをやれば、気の流れ、勁の流れが、完全に止まるだろうと、想像します。
実際、この踊り方が、「日本の教師試験」に合格するための模範的な踊り方です。
この踊り方を理解し(気とか勁とかの動きを完全に封じ込めて、使用不能にする)
それを「すばらしい!」と感激できる人だけが、日本の社交ダンスを教えることができる
「日本の社交ダンスのプロ教師になることができる」・・・・ということなのかもしれません。
社交ダンスの多くのプロ教師が、考え方を根本から変えない限り
日本の社交ダンスが、どんどん廃れていくのは、当然の成り行きだと、いえます。
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