社交ダンスでは、初心者のころから
「下を向いて踊ってはいけません」「姿勢を崩してはいけません」
ということを、徹底的に叩き込まれる。
ほとんど、躾(しつけ)に近い感じで、厳しい指導を受ける。
日本の社交ダンスの指導の基本は、「2階席を見て踊れ!」。
つまりは、視線を斜め上に向けたまま、両肘を真横に張った姿勢をキープしたまま
踊りなさい・・・・ということを意味します。
はい、ここで問題です。
混雑しているフロアーで、身長の高い男性が、斜め上を見て踊ったら、どうなるか?
男性のすぐそばに、背の低い女性が踊っていたとしても、斜め上を見て踊っている男性の
視界には女性の姿はありません。
下を見てはいけません! 上を見て踊りましょう!
というのが、日本の社交ダンスの指導方法です。
背の低い女性とぶつからないように、細心の注意を払いながら、
女性を避けて踊る男性は「ダンスを知らない、悪い男性」であって
背の低い女性を視界から外して、上を見て、女性を跳ね飛して転倒させる
ような踊りをする男性が「ダンスの上級者」というのが、、日本の社交ダンスの指導です。
基礎(きそ)と糞(くそ)、似ているようでも、大違い!
日本の社交ダンスのプロ教師は、根本的な部分で、致命的な間違いをしています。
ウインナーワルツ(宮廷ダンスの流れをくむダンス)にせよ、スローフォックストロット(1910年代発祥の歩行型ダンス)にせよ、タンゴ(アルゼンチンの酒場が発祥と言われている)にせよ、
同じフロアーで、大勢の人が仲良く踊るのが、社交ダンスの大原則です。
「背の高い男性が斜め上を向いて踊るため、背の低い女性がいても視界から外れて、見えない」
というのが、「本来の社交ダンスの基礎」であろうはずがありません。
悲しいかな、日本のプロ教師には、この矛盾に気づいている人はほとんどいません。
日本のプロ教師は、この重大な欠陥に対し、誰も、疑問に思わないのです。
ダンスを知らない小学生でも、疑問を抱くでしょう。
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では、「帽子をかぶって踊ったときのストリート系のダンス」における視線の動きはどうなのか?
帽子のツバで、視界の上半分が遮られたとしましょう。
カラダが自由に動く状態で、視界の下半分だけが見える。
これで、カラダに回転を掛けるとどうなるか?
回転するときには「水平ライン」を見続けると、カラダ全体が安定する
ということを知っている人ならば、視界の下半分だけを使って、視線を水平に
保とうとするでしょう。
帽子をかぶって、ダンスの練習をすると、この平衡感覚が身に付きます。
ストリート系ダンスにおける「水平ラインを見ながら回転する」のと
社交ダンスにおける「斜め上(2階席)を見ながら回転する」のとでは、
カラダの動きは、根本的に違います。
バレエはどうでしょうか? たぶん水平ラインを見ているはずです。
ストリート系ダンスをやっている高校生が100人いたとしても、
誰も「日本の社交ダンス(スタンダード)」をやろうとしないはず。
日本の社交ダンスは「一般的のダンスとは、基礎が正反対」だから。
ダンスというものを知れば知るほど、日本のスタンダード種目に対して
「拒絶反応」を示す可能性が高くなる。
だから、現状を追認する、日本の社交ダンスには「未来はない!」
日本の社交ダンス(スタンダード)の基礎は、メチャクチャだから、
才能のある人には、スタンダードは教えない方がいい。
社交ダンスのラテン種目だけを教えて、ラテン種目の基礎の応用で
スタンダードを踊った方がいい。
そうすれば、社交ダンスに「未来」が開ける。 可能性が出てくる。
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