いわゆる「日本の社交ダンス」は、
「子供から高齢者まで、初心者からチャンピオンまで、まったく同じ基礎で踊りましょう」
というのが基本になっています。
社交ダンスのプロ教師の資格というのは、
「勉強する気のない初心者でも、幼稚園の子供でも、90歳の高齢者でも理解できる動き」
こそが「正規のプロ教師が教える、正しい社交ダンス」であるというふうに、前提になってます。
なにもしらない初心者の男性と初心者の女性を組ませて、団体で教えるカリキュラムを前提に、
「日本の社交ダンスの基礎」というものが作られてるってこと。
カルチャーセンターとか、公民館サークルとか。
30人の生徒を、一人の先生が教えたときに、一人の落ちこぼれも、出してはいけない。
その中から、「日本の社交ダンスの基礎」が作られているということです。
英国のブラックプールで活躍されているプロダンサーが、ダンスIQ(ダンスの知能指数)と
称する評価基準によって、「無知・無能」という評価を受けてしまうのも、
「日本の社交ダンスの基礎」が、「子供から高齢者まで、まったく同じ基礎で踊りましょう」
という前提で作られていることによる「弊害」ということです。
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社交ダンスには、「ライズ」という概念があります。
ライズというのは、踵(ヒール)が床から離れている、高い姿勢です。
どんなカラダの使い方であれ、ともかく踵(ヒール)が高く持ち上がれば、それでOKです。
でも、「日本の社交ダンス」というか、日本のプロ教師は
「足首の筋肉を使って、意識的に踵(ヒール)を高く持ちあげて、爪先で立ちなさい」
と教えます。
なぜ、こんな教え方をするのでしょうか?
「意識的に踵(ヒール)を高く持ちあげる」方法であれば、子供から高齢者まで、
初心者からチャンピオンまで、まったく同じ方法でライズをすることが出来るからです。
「すべての人が理解できる動きで有り、すべての人が同じ形のライズになる」
これが、日本のプロ教師が教える、日本の社交ダンスです。
山形の ダンサー裕美先生の「第64回 ライズをやってみよう!!」の動画です。
踵(ヒール)を高く持ち上げて・・・というより吊り上げておいて、
頚骨(すねの内側の細長い骨)を前に押し出しながら立つ練習をすれば、
子供から高齢者まで、初心者からチャンピオンまで、誰でも同じように
「踵(ヒール)を高く持ち上げて(吊り上げて)、ライズをすることが
出来るようになります。
「日本の社交ダンス」においては、これこそが「正しいライズ」だとされています。
でも、これって、ほんとうに「正しいライズ」なのでしょうか?
足の力を抜いてボール(母趾球)の上に上半身をおいて、片方の足の膝を持ち上げると
反対側の支え足側の踵(ヒール)が浮き上がって、ライズすることができます。
いわゆる「ニー・アップ(knee up)」ですね。
ただし、日本のプロ教師は、何故か、この言葉を使いません。
足の裏全体で床を踏みつけたり、土踏まずの上に立ったのではダメ。
必ずボールの上に立つ(靴の踵に体重を掛けない)というのが絶対条件。
そこから、片方の膝(ニー)をアップすると、自然に支え足の踵が自然に浮いてくる。
わかりやすくいえば、梯子(はしご)を登るとき、片方の膝を持ち上げれば
支え足側(下にある足)の踵(かかと)が自然に持ち持ち上がります。
梯子を登るときに、意図的に踵を持ち上げて、爪先ツンツン立ちするひとなんて、
いないでしょう。 梯子で爪先ツンツン立ちしたら、すべって落ちてしまいます。
それと同じです。
「自然に踵(ヒール)が持ち上がる」ためには、一定の条件が必要であるならば
その「一定の条件」をみつけて、自然にライズが出来るようにしましょう!!!!
というのが、本来のダンスのレッスンであるはずです。
でも日本の社交ダンスは違います。
出来ない人、「一定の条件が見つけられない」人がいると困るから、
問答無用で「踵(ヒール)を持ち上げろ! 踵を吊り上げる練習をしろ!!!!」
というふうに教える。
確かに、「子供も老人も、初心者もチャンピオンも、同じ基礎で踊ることができる」
でも、それって、クソ高いレッスン料を払って習うべき、内容なのでしょうか?
ありえないでしょ!!!!
「日本の社交ダンス」にどっぷりつかってしまうと、思考力がなくなって、
なにも見えなくなる。
そして、なにも考えずに、「ランク」だけで、他人を批判するようになる。
「プロ教師」と呼ばれている人たちが、考え方を変えていかないと
社交ダンスは、どんどん廃れていきます。
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