社交ダンスのカラダの動きを考えるとき、インナーマッスル(深層筋)の動き(働き)は重要になってくる。
しかしながら、インナーマッスルは、頭で考えた(能からの直接の命令)の通りには動いてくれない。
じゃぁどうするか。どうやってインナーマッスルを動かすのか?
そこで、カラダの中に丹田から発する「気の流れ(日本の合気道)」「力の流れ(ロシアのシステマ)」
「勁の流れ(中国の陳式太極拳)」というものを作れば、その流れに沿った形でインナーマッスルが働く。
対して、「丹田は重たい重力の塊である」という意識を持ち、インナーマッスルを使って、その「塊」を
より強固なものにする。そうすることでと、脳から指令によって動く「難しい名前がついている、○○筋
とか△△筋とかいう、アウターマッスル(表層筋)の数々」を、自由自在に操れるようになる。
日本の「社交ダンスの先生」は、どちらを教えるか?
日本の「プロ教師」免許制度では、気の流れとか勁の流れとか、そんなものは一切認めていません。
「脳ミソ」からの指令で動く筋肉だけで完結させるのが、日本の「プロ教師資格」なのです。
じゃあ、これはどうなるのか?
金沢正太氏と、裕美先生は、
(1)右の胸に大きな花束を持つイメージで、カラダを左に、「ひしゃげ」させてから
(2)「ねじりパン」のように、ねじって、ひねって、右に回転させる。
という説明をしています。
そんなことをしなくても、ホールドは作れます。
わたし(山象)ならば
(1)カラダをねじらずに、ひねらずに、左足のボールの上に立ってから
(2)左肘と左手首を、まっすぐ前方に伸ばしていけば、左ボディが前に出る。
たったこれだけ。
なにが違うのでしょうか? インナーマッスルの使い方が違います。
どちらもインナーマッスルを最大限に使っているのですが、使い方が違うんですね。
初心者は、男性の左肩と女性の左肩の距離が遠ざかると、ボディ全体が離れてしまいます。
だけど
「ふたりの左肩の距離を遠ざけたほうが、ふたりのボディが密着する感覚を得られる」
そんな方法が、大きく分けて2種類、存在します。 左側の方法と、右側の方法ですね。
2つの決定的な違いは、左肩・左ボディを前に出していくときに、
左前腕に「左斜め(時計の10時の方向)の力を加えながら、左腕を直進させるか」のか、
左前腕に「右斜め(時計の2児の方向)の力を加えながら、左腕を回転させるのか」
という、まったく正反対の動き。 どちらでも、ふたりのコンタクトは強くなります。
初心者の頃は、左肩を前に出して、二人の左肩の距離を遠ざけようとすると、バラけて
しまいます。
「バラけてしまうと、先生に叱られる」ので必死にボディをくっつけようとします。
その方法が、2種類あるということです。 じゃぁ、どちらの道を選ぶか・・・ですね。
この動画の9分27秒から始まる、左肩~左胸~右骨盤を斜めに結ぶ「たすき掛け」の筋肉。
これを緊張させ、収縮させると、(陳式太極拳でいうところの)勁動がふさがって、勁の流れが
止まってしまう。
意識的に「勁の流れを完全に止めてしまって」カラダをねじって・ひねって・ひしゃげさせて、
左右に回転させながら進むのも、「ダンスの楽しさ」だと思います。
でも、丹田から、てのひら・あしうらに流れる「気の流れ」「勁の流れ」作り出すために
「ねじらない・ひねらない」を徹底して、この「たすきがけの筋肉」を緊張させずに踊りきる
(常に弛緩(リラックス)状態に保つ)一つのダンスの楽しさのような気がします。
「最大限にねじりまくった踊り」でも「ねじることを禁止した踊り」でも、社交ダンスは
踊れます。
どちらが大きく優雅に踊れて、どちらが楽しいか??
競技会で勝つのは、どちらの踊りを選択すべきなのか?
それは、踊る人、ひとりひとりが、決めれば良いと思います。
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