先日から書いていた、「ダンス八景」の第八弾。 最終回。
社交ダンスのドラマ・・・といえば、やっぱり、これでしょ!
社交ダンスの姿勢は
「必死に型を作り、何かとキープして美しく見せている」
という書いてあります。
「ダンスをすれば姿勢が良くなる」というのは、勘違いである
・・・と。
ダンスの上達のために、複雑な筋肉の使い方やエクササイズを
紹介している著者が、そう言ってるのだから、教えられたとおりに
血反吐が出るくらい練習しても、「笑顔で美しいシルエット」など
出来るはずがない。
プロ・アマ問わず、この考え方に「大絶賛」している競技選手は非常に多く、
多くのプロ教師も「必死にホールドを作って踊っている」と思われる。
これこそが、日本の社交ダンスにおける、最大のドラマ。
「必死にホールドを作って踊ってる先生」に、高いカネを払って
100万年習い続けたしても、「楽しく笑顔で踊れる」はずがない。
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背中(背骨)に強靭な縦軸を作り、両腕でまっすぐ水平な横軸を作る。
カラダの中の縦軸と横軸が、ブレないように、必死にキープする。
背中の左右、脇腹や腰にへばりついている難しい名前の筋肉。
○○筋とか△△筋とか。これを伸ばしたり押し出したりすると、あら不思議。
カラダが動いて、難しいステップも魔法のように踊れてしまう。
超一流の医学博士ですら知らないであろう、難しい筋肉を知ってるプロ教師。
なんと素晴らしい先生だろう! 習った生徒は感動の涙を流し、絶賛する。
「必死にホールドを作って踊り続ける」ことは、素晴らしいことなのである。
だが、しかし!!
必死にホールドを作らなくても、社交ダンスを踊ることは出来る。
両腕の肘を持ち上げて、左手の中指を小さく回転させると、両足の足首が反応
して、踵が浮き上がって床から離れる。
手の指を足首を直接繋いでいる筋肉など存在しない。カラダの中のたくさんの
筋肉を無意識に動かすことができたとき、「手の指を動かせば、足首が動く」
同様に、足の裏、土踏まずのアーチを変えると、両肩・肩甲骨が動く。
視線を上から下、左から右に変えると、肩甲骨が動き、骨盤が持ち上がる。
これらの動きを同時に行えばどうなるか?
カラダ全体の筋肉が同時に動き、「カラダの中に複数の枠」が出来る。
「つまようじ」のように細くて弱い棒であっても、三角形の枠を作れば、
ねじれやたわみが生じなくなる。
カラダの中に「複数の三角形の枠」を作れば、ホールドをキープできる。
軽い。そして無理な力などいらない。
「必死にホールドを作る」必要も「無理に笑顔を作る」必要もない。
ただし、「三角形の枠」を作るには、ある程度の経験が必要となる。
出来るだけ、たくさんの人と踊って、「いままで気づかなかったカラダの
動き」を感じ取っていくことが、必要になってくる。
直感的に、脇腹の筋肉を動かし、足首を屈曲させる「軸の踊り」
複数の「三角の枠」をキープしながら、力の変化させていく「枠の踊り」
どちらの踊りを好むかは、人それぞれ。
「この先生の踊りは素晴らしい!」と感動した先生に、習えばいい!
「世界中で一番、この人と踊るのが気持ちいい」そんな相手と、踊ればいい!
違う踊り方をする「上級プロ」より「身近にいるパートナー」
まさに、ドラマである。
競技会はどうか???
「軸の踊り」のライバルは「枠の踊り」である。
「枠の踊り」のライバルは「軸の踊り」である。
「自分の踊り方」と「自分と違う踊り方」の勝負である。
「自分の踊り方」こそが絶対優勢だとと感じとったとき、はじめて勝負に
勝ったといえる。 中途半端な階級なんて、そんなものはどうでもいい。
だがしかし、日本の競技選手は、ひたすら階級を追い求めている。
「自分の踊り方」が絶対正しいものであり、「自分と違う踊り方」の選手の
存在など、まったく眼中にない。「自分と違う踊り方」など認めない。
そんな人がたくさんいる。
「必死に型を作り、何かとキープして美しく見せている」競技選手にとって、
リラックスした「枠」を作って、心の底から笑顔で踊っているダンサーが
この世に存在していることなど、想像もできないことだろう。
「軸の踊り」をする人は、「枠の踊り」をする人を意識すべきだと思う。
人間、誰でも、最後は死ぬ。
死ぬ前の病院のベッドの上で、「自分の社交ダンスは正しかった」と
言えるような、そんな悔いのないダンスを続けていきたいものである。
おわり
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