今回は、イメージを思い浮かべる「頭の体操」。
【問題1】厚さ 0.6mm の「薄いペラペラの鉄板」があります。
この薄い鉄板の強度を高めた上で、床に垂直に立たせるには、
どうすれば良いでしょうか?
おそらく、いろんな発想が出てくると思います。
【Aさんの答え】
「太い鉄骨の柱」を縦横に組んで、床に埋め込んで固定する。
次に、床に立てた鉄骨の柱に、薄い鉄板をスポット溶接して固定する。
【Bさんの答え】
薄い鉄板の真ん中を叩いて伸ばし、表面を球面状にする。
次に、屏風(びょうぶ)のように、薄い鉄板に「複数の折り目」を作る。
Aさんの方法も正解、Bさんの方法も正解。
どちらの方法でも、薄い鉄板を垂直に立たせることが可能です。
薄くて軽いペラペラの鉄板でも、立たせることが可能です。
(軽自動車のドアや天井に使われているのが 0.6mmの鉄板ですね)
(鉄板をプレスで球面状にして、折り目をつければ、強度が増します)
社交ダンスのホールドにおいても、これと似たような「発想の違い」が
踊り方に決定的な違いを生み出します。
【問題2】社交ダンス(スタンダード種目)のルールを守り
「両腕を持ち上げて、両肘を固定した姿勢」を保ったままで、
大きな歩幅で踊り続けるには、どうすればよいでしょうか?
【Aさんの答え】両肘を真横に張って固定して、胸を張り(胸を開き)
カラダ全体を緊張させた「苦しい姿勢」のまま、斜め上を向いて踊る。
膝と足首の屈伸(曲げ伸ばし)を最大化すれば、カラダは大きく動く
【Bさんの答え】「てのひら」と「足の裏」に「丸み」を作っておいて、
前腕(肘~手首)と下腿(膝~足首)に「適度なねじれ」を作る。
てのひらの窪み・足の裏のアーチのある状態で、前腕・下腿に「ねじれ」
を掛けても、手足はほとんど動かず、外見上は固定しているように見える。
膝を足首の屈伸を全く意識しなくても、カラダ全体が大きく動き出す。
与えられた【問題1】【問題2】に対して、複数(2つ以上)の方法を
思いついた人は、複数の方法のメリット・デメリットを考えた上で、
最善の方法を選び出して、最善の方法を極めていく。
学校であれ、職場であれ、多くの集団においては、「会議」や「学級会」
など、みんなで意見を出し合って、いちばんベストな方法を探っていく。
さまざまな意見を出し合って、多くの人の意見を聞く。
そうしているうちに、「自分の気づかなかったこと」に気づき、
よりよい発想が出来ていく。
人間というのは、本来、そういう「生き物」なのだろうと、わたしは考えます。
ところが、悲しいかな、日本の社交ダンスのプロ教師は「突進型」のタイプが多い。
一つの方法を思いついたら、ひたすら、その方法だけを追求していく。
一つの方法を思いついたら、ほかの方法があることなど、考えない。
他人の意見など、聞く耳持たず。 ひたすら自分の意見を他人に押しつけようとする。
「社交ダンスのプロ教師」は、まず最初に、生徒の思考力を奪うことから始める。
ともかく、生徒にモノを考えさせないようにする。
そして、「社交ダンス」に対する、非常に偏った先入観を、生徒に植え付ける。
自分の意にそぐわない、「考える生徒」は、どんどん切り捨てられる。
イノシシの如く、ひたすら突進する生徒だけが、プロ教師によって、育てられていく。
違和感だらけの、不思議な世界。
社交ダンスを教えるプロ教師は、もう少し広い視野を持つことができたなら、
2018年の社交ダンスは、もっと明るいモノになっているだろう。 たぶん。
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