スタンダードのホールドでの、首(ネック)の使い方の話。
社交ダンスでは、ネック(neck)という言葉は使いますが、
アタマ(head)という言葉は使いませんよね。 なぜでしょうか?
日本の社交ダンスでは、大多数のプロの先生が、
「姿勢が崩れないように、アタマと顎(あご)を後ろに引いて、
一歩一歩、しっかり、足の上を乗り越えながら進みなさい」
という指導を行っていると思います。
首(ネック)を緊張させて、伸ばしながら、後ろに引いて、
股関節・膝・足首のパワーで、足の上を乗り越えて行く。
ほんとうに、それが、スタンダードの基本なのでしょうか?
ほんとうに、首(ネック)は、使っていないのでしょうか?
じゃぁ、ネックを使ったときの「基本概念」は、どうなるか??
「スタンダードのホールド」においては、首(ネック)の筋肉に
変化を与え続けたとしても、外見上(他人が見ている限りでは)、
首(ネック)は、全く動いていないように見えてしまう。
ビデオで見て「ネックが動いていないように見える」からと言って、
「首を動かさずに固定して踊っている」とは限らない。
このあたりの「事実」を、どう捉えるかが、とても重要です。
首(ネック)と 足の裏の「土踏まずのアーチ」は 連動する
そう仮定すると、大きな首の動きが起きる(首の動きを起こす)のは
・足を前方振り出して、足が前方に進み出すタイミング
・前方に振り出した足に、体重がかかろうとするタイミング
あたりだと考えられます。(外見上、首は動いていないように見える)
上の写真の動きの中で、首の変化が起きているとすれば、
いったいどのような「首(ネック)の筋肉の変化」が潜んでいると
考えればよいのでしょうか?
スタンダード種目は、首をカチンカチンに固定したまま!????
推測(当然、検証はしている)ですが、、たぶん、こうだと思います。
七類誠一郎氏の「黒人リズム感の秘密」にある7つの動きのうち
一番最初に出てくる(最も重要とされる)BIRDの動き。
瞬発的に(首の筋肉は緊張する)首(ネック)を前方に押し出す。
両肩も同時に、前方に出てきます。 下を向いてはいけません。
首の力を抜いてやると、首(ネック)は伸びて、後方に下がり
「首を後ろに引いた状態」になります。
同時に両肩も後ろに下がり、リラックスした姿勢になります。
首の筋肉を緊張させたまま、首を前後に動かしてはいけません。
首の力を入れて、前後にギコギコやると、肩こりになります。
大半の日本人は、練習すれば出来るようになるけど、
「練習しないと、この動きが出来ない」ということのようです。
おぃおぃ、スタンダードの競技選手とか、プロ教師で、
こんな首(ネック)の動き、やってるヤツ、誰もいないだろ!
・・・ってことになるのですが、「ホールド」に秘密がある。
これは、田中英和先生が、「イギリス留学のとき、アパートの管理人に聞いた」という左腕の使い方。
この左腕の使い方に、なんの意味があるのか、わからないけど
この左腕のホールドで、首(ネック)に変化を与えてみる。
さて、どうなるか????
まず、田中先生と同じように、左腕でのホールドを作る。
そして、首(ネック)を、左前方(少し下)に向かって押し出してやる。
(首を正面ではなく、左前方に動かすところが、ミソだな)
どうなるか? 実際に、やってみればいい。
首(ネック)を、左前方(少し下)に向かって押し出してやると、
左肩も、首(ネック)と同時に、前に出てくる・・・ハズです。
ところが、スタンダードのホールドにおいては、
「首(ネック)を、左肩の前に割り込ませるように前に出す」
ことになるので、左肩は、後方に押し戻される。
左肩が後方に押し戻されると、首(ネック)も後方に下がる。
このタイミングで、首(首)の緊張を解いてやると、
首(ネック)はスラっと伸びた状態で、後方に保たれる。
リラックスした姿勢で、姿勢が伸びて、肩も後方で安定する。
結果的に、首(ネック)を前方に押し出したとしても、
外見上は「首(ネック)が動いているようには見えない」ばかりか
首を伸ばして、後ろに引いたまま踊っているように見えてしまう。
首(ネック)の筋肉と、足の裏の「土踏まずのアーチ」は連動するので、
足を前方に出していくタイミングで、土踏まずのアーチが最大化されれば
安定した姿勢のまま、遠くへ足を伸ばしていくことが出来る。
また、前方に出した足に体重がかかるタイミングで、土踏まずのアーチが最大化されれば
ボディは沈まずに、ボディ全体が上方向に伸びて行く。
重要なのは、「左腕の使い方」「左腕のホールドの作り方」です。
漠然と「腕を持ち上げて、左腕を固定するだけの、いい加減なホールド」だと
首(ネック)の動きが「すっぽ抜けてしまう」ので、首(ネック)が前に動くと
肩も前に出て、背中が丸くなって、下を向いてしまいます。
スタンダード種目においては、首(ネック)の動きと
腕(特に左腕)のホールドの作り方は、特に重要だと思います。
日本のプロ教師が教える社交ダンス
(というより、日本の「教師免許資格」に基づく社交ダンス)では、
首を後ろに引いたまま、肩を落として、首を緊張させて、
斜め上(2階席)をみたままで、踊りましょう!
という指導になっています。
昔から続いている、日本の「教師免許資格」に基づく社交ダンスの教え方は、
「正しい教え方」と言えるのでしょうか?
首を緊張させたまま固めて踊るダンスが、ほんとうのダンスだと言えるのでしょうか?
もし、少しでも疑問があるのであれば、
日本の「教師免許資格」とはなにか?
そのあたりから、考え直すいい機会だと思います。
どうでしょうか?
なにも、感じませんか???
なにか、感じた人はいませんか?
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